story

八咫烏の一族が住まう異世界・山内
美しくも風変わりな若宮に使えることになった八咫烏の少年・雪哉が、日嗣の巫女の座をめぐる陰謀の渦に巻き込まれていくー。

用語集

山内(やまうち)
山神さまによってひらかれたと伝えられる世界。八咫烏の一族が住まう。族長一家「宗家」のもと、東西南北の大貴族「四家」によって四つの領(東領、西領、南領、北領)が治められている。
八咫烏(やたがらす)
三本足の烏。烏から人、人から烏に「転身」することができる。貴族階級は烏の姿を卑しい姿だと考えており、一生のほとんどを人の姿で過ごす。
八咫烏には身分の差があり、貴族階級を「宮烏」、町で商業を営む者を「里烏」、地方の庶民を「山烏」という。
烏の姿のまま家畜として使役される者は「馬」と呼ばれる。
金烏(きんう)
族長一家「宗家」の長として山内を治める者。金烏の后にどの家の姫が選ばれるかは、常に政争の具となっている。
何十年かに一度、他者とは異なる圧倒的な力を持つ宗家の八咫烏は「真の金烏」と呼ばれる。
登殿(とうでん)
東西南北の大貴族「四家」の姫たちが、皇太子の后候補として桜花宮に移り住むこと。
桜花宮(おうかぐう)
登殿した姫たちが住まう宮殿。藤花殿を中心に、春殿、夏殿、秋殿、冬殿が並ぶ。それぞれの御殿は、その名を冠した季節が最も美しく感じられるように作られている。
藤宮連(ふじみやれん)
普段は宗家女房として仕えているが、有事の際は警護や戦闘にあたる女武者集団。
招陽宮(しょうようぐう)
皇太子・若宮の住まい。
山内衆(やまうちしゅう)
宗家の近衛隊。勁草院で優秀な成績を収めたものだけがその資格を得る。
勁草院(けいそういん)
山内衆の養成所。厳しい訓練で知られる。
紫宸殿(ししんでん)
金烏の正殿で、政治を行う場。四家を集めた御前会議が行われる。
明鏡院(めいきょういん)
若宮の兄・長束が統括する神寺。
哨月楼(しょうげつろう)
中央の高級花街にある、若宮御用達の店。地下に谷間へと続く隧道がある。
谷間(たにあい)
中央に存在する荒くれ者たちのたまり場。遊郭や賭場などがひしめきあう裏社会。
垂氷郷(たるひごう)
北家の一族の領地・北領に位置する郷。郷長は雪哉の父・雪正。
雛の祭り(ひなのまつり)
一家の娘の健やかな成長を願う、山内の行事。人形に身の穢れを移し、川に流す。中央の貴族階級は豪華な雛人形を用いるが、平民階級は粗末な人形を用いる。
七夕(たなばた)
桜花宮においては、姫たちが若宮に着物を贈る行事。引き裂かれた恋人が年に一度、七夕にだけ再会することを許されたという伝説に由来する。
長琴(なごん)
ある人物からあせびへ贈られた東家秘伝の大きな琴。桜に霞の模様が彫られている。もとは、あせびの母・浮雲の持ち物。